実は、世界で約2000種いるホタルのうち、4分の1のホタルのメスが飛べないそうです。飛べないメスは、翅が退化して体は幼虫の形をしています。それは、飛ぶことを諦め、卵を産むことと、オスを呼ぶための発光器づくりにエネルギーを注いだ結果だそうです。
※参考文献:「ホタルの不思議な世界」サラ・ルイス著
日本では、オオマドボタルやアキマドボタルなどのマドボタル属のメスの成虫が、幼虫型をしています。
ヒメボタルのメスも、マドボタル属ではないですが飛べません。下翅のみが退化して上翅(黒い翅)はあるので、外見上は普通のホタルと変わりません。飛ばない選択をしたのに、なぜ上翅を作ったのか不思議です。
令和4年4月
ゲンジボタルは、オスのほうがメスより1週間から10日ほど早く生まれます。したがって、ピークまでの前半はオスが多く、メスと出会えないオスがたくさんいるのです。なぜオスが早く生まれるかははっきりしていませんが、モンシロチョウのオスが早く生まれるのと同じ理由ではないかと考えます。モンシロチョウのオスは性の成熟に数日かかるのでメスより先に生まれてメスが羽化するのを待っています。メスは羽化直後から交尾可能なのです。同じような理由でゲンジボタルのオスもメスより早く生まれると考えられます。
令和4年3月
サラ・ルイス著「ホタルの不思議な世界」によれば、北米に生息するフォトゥリス属のメスは、光の明滅を模倣して異種のフォティヌス属のオスをおびき寄せて、頭から腹部にかけて順番に食べていくそうです。
ほとんどのホタルは成虫になると食べるのを止めるのに、なぜフォトゥリス属のメスは虫喰いになったのでしょうか?それは、毒を持たないフォトゥリス属のメスが毒を持っているフォティヌス属のオスを食べることによって毒を体内に取り入れ、ホタルを捕食する者たちから身を守るためなのです。
令和4年2月
ゲンジボタルは、成長速度にばらつきがあり、成長が遅い幼虫は上陸するまでに2年から3年かかります。
矢島稔氏によれば、孵化して1ヶ月の間にカワニナをどのくらい食べるかによって、大小ができるそうです。大きな幼虫は体力がそなわって、より多くカワニナを食べるようになり、脱皮ホルモンの分泌が高まって、早く脱皮をくりかえすようになるそうです。その反対に小さな幼虫は体力がないためホルモンの分泌が少なく成長速度が遅くなり上陸するのに2~3年かかるようです。
参考文献:「ホタルが教えてくれたこと」矢島稔著
令和4年1月