ホタル一口メモ


カワニナを食べる幼虫の口はどうなっているの?

 幼虫には大あごと呼ばれる口があり、その大あごでカワニナにかみつきます。大あごの中は、ストロー状になっていて、そのストローを通して、はじめにカワニナに蓋をされないようにしびれる毒を注入し、その後消化液を流し込んでカワニナを溶かします。その溶かした液をストローで吸います。

令和3年7月

ゲンジボタルの幼虫の頭部


ゲンジボタルの幼虫は、成長の速度がバラバラです。なぜでしょう?

 それは、種が生き残るための戦略なのです。洪水が起きた時、体が大きい方が流されにくいようですが、小さい方が、狭い隙間に潜り込んで助かるかも知れません。また、エサが少なくなったとき、たくさん食べる大きい幼虫は飢えてしまっても、小さな幼虫は少しのエサで生き残れるかもしれませ。大きさをバラバラにすることによって種が生き残る確率が高くなるのです。

令和3年6月

同じ時に生まれた幼虫たち


ホタルの交尾が長いのはなぜ?

 ホタルの交尾は、夜中から朝まで続くと言われています。それは、オスの遺伝子を確実に残すための戦略なのです。 

 オスは精子をたくさん持っているため、複数のメスと交尾する方がいいように思われますが、受精には後から交尾したオスの精子が使われるため、一匹のメスを独占する方を選択したのです。

令和3年4月

ゲンジボタルのメス(左)とオス(右) 

撮影:中村光男氏


ホタルは外国にもいるの?

ホタルは日本だけだと思っていませんか。実は、世界には約2000種類ものホタルがいます。(日本は約50種類)東南アジアではホタル鑑賞ツアーが盛んです。

令和3年3月


  パプアニューギニアのホタル 

   特定の木に数十万ものホタルが集まり、クリスマスツリーのように点滅します。

 

  撮影:大場信義氏(北九州市ほたる館パネルより)


ゲンジボタルの幼虫は、雨が降る夜に川から上陸します。なぜ雨が降る日なのでしょう。

次の2つの理由が考えられます。

①乾燥しないように、川の中の環境に近い雨の日を選んでいる。

②雨が降ると土が柔らかくなって潜りやすい。

 ただ、経験上シーズンの最初は雨の日に上陸しますが、その後は曇りの日でも上陸することがあるようです。

令和3年2月

 

光ながら上陸する幼虫

                    撮影:中村光男氏

 


ホタルは成虫になったら水しか飲まないのはなぜ?

 はかない命として代表的なカゲロウの成虫は、口が退化してエサを食べません。幼虫の時に蓄えた栄養だけで活動します。羽化したらその日のうちにメスと交尾して、数時間から一日の長さで命を終えます。エサを食べて自己が生きることより、子孫を残すことの方が大切なのです。ホタルもカゲロウに似ています。ただし、水だけは飲むので1~2週間は生きます。水しか飲まないのは、子孫を残すことに専念するためなのです。

令和3年1月


ホタルが、同じ時間・同じ場所で飛ぶのはなぜ?

 ゲンジボタルは午後8時から9時までの間に、いつも決まった場所で飛びます。これは、ホタルの子孫を繋いでいくための戦略なのです。ばらばらな時間にばらばらな場所で飛んではオスとメスが出会う確率が低くなります。そのため、時間と場所(ランドマーク)を決めてオスが一斉に群がり、そこにメスが集まってくるのです。ユスリカの成虫が作る蚊柱もそうです。また、ミツバチの女王バチの交尾飛行も同じだといえます。ミツバチのオスは同じ時間・同じ場所で群がり、そこに女王バチが飛行して行くのです。

令和2年12月


「ほたる」の語源は?

万葉集にすでに詠まれている「ほたる」という言葉の語源として、貝原益軒は「ほは火なり、たるは垂るなり」といって、火垂る説をとっています。また、ほたるを星と見立てた星垂る説もあるようです。

 

野坂昭如の小説をアニメ化した「火垂るの墓」が有名です。実際、ホタルが下に落ちるのを見ると、火や星が落ちると思った昔の人の気持ちがよくわかります。

令和2年11月


「こっちのみずは あ~まいぞ」は本当に甘いの?

 童謡「ほたるこい」の歌詞では、「あっちのみずは にがいぞ/こっちのみずは あまいぞ」となっています。多分、「にがい」は「きたない」、「あまい」は「きれい」で、こっちの川はきれいだから、こっちにおいでと、ホタルを誘っている歌と考えるのが自然かなと思います。調べてみると、あっちの苦い水は、世知辛い世間の水、こっちの甘い水は、仏が施す水のことだという説もあるようです。

令和2年10月


ホタルの卵はふ化する前に中身(幼虫)が透けて見える。

 ホタルの卵はふ化する前に黒ずんできます。それは、卵の中の幼虫が透けて見えるようになるからです。顕微鏡で拡大すると、丸くなって動いているのが観察されます。卵の形も円形から楕円形にいびつになります。           

                                    令和2年9月

        産卵直後の卵

        ふ化直前の卵



ホタルはどこで呼吸をするの?

ホタル(ゲンジボタル・ヘイケボタル)は成虫と幼虫では呼吸をする所が違います。

●成虫・・・腹の横に穴(気門)があり、気門を開閉して呼吸をします。

●幼虫・・・腹の横に二股になったエラ足があり、長い方がエラで短い方が気門です。水中ではエラで呼吸し、上陸すると気門で呼吸します。

                                  令和2年8月

       ゲンジボタルの幼虫

        胸部から3対の脚

        腹部から8対のエラ足

    エラ足を拡大したところ

     長い方・・・エラ(水中で呼吸)

     短い方・・・気門(陸上で呼吸)



ホタルの命は短いの?

 よく「ホタルの命は短いですよね」と言われます。同じように「セミの命は短くて1週間」ともよく言われます。どうもそれは、成虫になってからのことを言っているようです。

 ゲンジホタルの命の長さは卵から成虫で死ぬまで約1年です。

 ホタルは成虫になってからは確かに短いです。オスが1週間、メスが2週間と言われています。それも個体差があって、水だけでオスが3週間生きたことがあります。

令和2年7月

撮影:松山清治
撮影:松山清治

ホタルなのに光らないホタルがいる。

 ホタルは光るからホタルだと思ったら光らないホタルがいるんです。光らないホタルは昼間飛んで匂いでオスとメスが出会います。そのため触角が発達しています。

令和2年6月

       オオマドボタルの触角

       昼行性で光らない

       陸生

       ゲンジボタルの触角

       夜行性で光る

       水生



ホタルの幼虫には尾脚(びきゃく)がある。

 

 ホタルの幼虫の6本の脚は前の方にあって腹が長いので歩きにくいため、お尻の先に尾脚(びきゃく=本物の脚ではない)があり、この尾脚で体を押して歩きます。これをシャクトリムシ型歩行と言います。

令和2年5月

ゲンジボタルの幼虫
ゲンジボタルの幼虫
ゲンジボタルの尾脚
ゲンジボタルの尾脚
シャクトリムシ
シャクトリムシ


ホタルの幼虫は脱皮して大きくなりますが、脱皮直後の体は白色です。

 

 脱皮直後は白色なので水替えの時など見落としがちです。注意が必要です。時間がたつと黒い色がついてきます。セミが羽化した時と似ています。ザリガニやゴキブリも脱皮直後は白色です。

令和2年4月

 

 

ホタルの幼虫
通常の幼虫
脱皮直後のホタルの幼虫
脱皮直後の幼虫


川で見られるゲンジボタルが木の上まで登るのはなぜ?

 

メスは下の川岸の草などにとまって光っている。オスはその光を探して飛んでいる。従って、高く飛ぶ必要はないのに、木の上まで飛んでいるオスがいる。それは、高く飛んで遠くにいるオスやメスを呼んでいるのである。たくさん集まったほうがオスとメスが一緒になる確率が高くなる。子孫を残すためのホタルの戦略の一つ。

令和2年3月


ヒメボタルのメスは後翅が退化して飛べない。

         撮影:今村高良
         撮影:今村高良

 

 ヒメボタルのメスは後翅が退化して飛べないので、オスはメスを探すため低い所を飛んでいます。そのため、ヒメボタルの写真を撮ると、光の絨毯のようになります。

令和2年2月

 


ゲンジボタルのオスは、オス同士協力してメスを探している。

       撮影:中村光男
       撮影:中村光男

 

 集団同時明滅といって、ゲンジボタルのオスはオス同士協力して、2秒に1回の割合で同時に明滅しています。同時に明滅するということは、あたりが真っ暗になる瞬間があるということです。この暗くなった時に川岸の草の葉に止まって光っているメスを見つけるのです。

令和2年1月


ホタル(ゲンジボタル)はどのくらいの距離飛ぶの?

      撮影:松山清治
      撮影:松山清治

 

ホタルの羽に11頭マーキングして調査したところ、オスが200m、メスが400m上流に飛んだそうです。中には2.3㎞上流に飛んだメスがいたそうです。幼虫が大水などによって流されるのを想定して、メスは上流で産卵すると言われています。

出典:遊磨正秀著「ホタルの水、人の水」より

令和元年12月

 


ホタルのメスは1頭(1匹)で何個の卵を産むでしょうか?

 

ゲンジボタル 10001500

 

ヘイケボタル  100150

 

ヒメボタル    5060 

 

  

なぜ種類によって産む卵の数が違うかというと、生息場所が違うからです。ゲンジボタルは川、ヘイケボタルは田や池、ヒメボタルは竹林や杉林に生息します。ゲンジボタルがたくさん産むのは、川が洪水などで危険だからです。1頭のゲンジボタルの卵をほたる館で調べたところ最多は1953個でした。

令和元年11月


ホタルはメスよりオスの方が目玉が大きい。

 

一般的に目でメスを見つける昆虫はオスの目玉がメスより大きくなっています。ホタルのオスもメスの光を見つけるために大きくなっています。皆さんが観賞する午後8時から9時ごろのホタル(ゲンジボタル)はゆったりと光りながら飛んでいますが、実は飛んでいるのはほとんどオスで、下の川岸の草むらに止まっているメスの光を必死に探しているのです。

 

令和元年10月

 

ホタルのメスの頭部
メス
ホタルのオスの頭部
オス


ホタルは、卵も光ることを知っていましたか?

 

実はホタルは卵・幼虫・サナギが光るんです。それなのに成虫になると光らないホタルがたくさんいるのです。不思議ですね。ところで、卵・幼虫・サナギが光るのは敵を驚かしたり、食べたらまずいよと警告したりする警告色だと言われています。

令和元年9月

卵
卵  撮影:中村光男
幼虫
幼虫  撮影:高橋 正
サナギ
サナギ  撮影:中村光男


ホタルの幼虫は何を食べるの?

ホタルの幼虫がカワニナの稚貝を食べる様子
1mm方眼

 

 ゲンジボタルの幼虫は川の中にいるカワニナを食べます。歯がないので消化液を出して、スープ状に溶かして吸います。スープが外に漏れないように体でふたをして食べ尽くします。

 

 写真は、ふ化したばかりの幼虫がカワニナの稚貝に頭を突っ込んで食べているところです。

令和元年8月


ホタルの赤い部分はなぜ赤い?

ゲンジボタルの図
引用:神田左京著「ホタル」

 ホタルをつまむと足の付け根から嫌な味と匂いの汁を出します。私を食べるとまずいよという警告色なのです。

 

 ちなみに、この赤い部分は頭ではなく、胸です。

 

令和元年7月